道路の穴ぼこは建物にも起こる
2024年03月05日
冬から春に季節が移るタイミングでの風物詩に、道路の穴ぼこの多発があります。
積雪前は全く見当たらなかったのに、雪が解け、道路面が露出して来るとそこかしこに穴が開いています。
原因は道路に沁みた水分の、凍結による膨張です。
この繰り返しによってアスファルトが傷み、剥がれやすくなった物が車両通行の衝撃で剝がれてしまいます。
とは言え道路上には雪が積もっていますから、そんなに水分が沁み込む事があるものなのでしょうか?
冬期間であっても天気が良いと路面が露出しているのを見られた事はないでしょうか。
またブラックアイスバーンの注意喚起情報を耳にされた事はないでしょうか。
意外と12~2月の冬真っ盛り時期でも、道路面上では融雪と凍結が繰り返されています。
そのため、春先にかけて至る所で道路の穴ぼこが発生します。
通行しにくいだけでなく、車両への負荷や破損、最悪の場合事故にも繋がります。
このような水分の沁み込み、凍結の繰り返しによる破損は道路に限らず建物でも起こっています。
代表的な発生箇所は屋根です。
北海道では敷地確保の問題、除雪の問題、雪庇による建物破損の問題から、無落雪屋根が普及しています。
その名の通り、屋根から雪が落ちない造りになっており、建物内の熱や電熱線、
晴天時の太陽照射熱などを用いて雪を溶かし排水する事で、除雪手間を省く仕組みになっています。
しかしながら融雪の熱源は常時発生している訳では無く、また温度もじわり溶ける程度でしかありません。
夜間になり冷え込みが増すと熱量に対して融雪が間に合わず水分は氷結します。
屋根は何枚もの板金を用いて繋ぎ合わせ、形成されています。
繋ぎ合わせがあると言う事は、僅かながらも隙間がある、と言う事です。
僅かでも隙間から入った水分は凍結により体積が増し、板金を押します。
特に無落雪屋根は、排水のための溝がある仕組みになっているため、
この溝付近で凍結、融解の影響を大きく受けやすく隙間が広がりやすい傾向にあります。
ここに排水溝の詰まりや凍結で水が上手く流れない状況が重なると、
せき止められた水があふれ、出来た板金の隙間から室内へ流れ込みます。
冬の半ばから春前にかけて発生しやすいすが漏れは、ここに原因がある事がほとんどです。
屋根以外にも風雪に晒される箇所に外壁が有ります。
しかし壁には雪は積もりません。熱も上昇するという特徴から側面が受ける影響は軽微です。
一見水分の影響を受ける事は無さそうに思われますが、落とし穴があります。
窓の無い家はありません。窓は外壁とは一体ではありませんから、
その取り合いはコーティングをしなければいけません。
コーティング剤はゴムの様な素材で、10年前後で劣化します。
劣化したゴムがぶつぶつと切れる様に、劣化したコーティング剤も弾力が無くなりやがて割れが発生します。
そこから入り込んだ雨の水分が残っていたり、吹雪で着いた雪の水分が入り込んだりすると、
凍結による膨張が起こります。
壁面から沁み込んだ水分は垂れや伝いで広がっていく事があるため、
水分の凍結による膨張がどこで発生するかの特定が困難になりがちです。
結果冬場の水分凍結膨張の影響で、夏の風雨時に思いもよらぬ場所で雨漏りが発生する、と言う事がありえます。
道路は公共事業でメンテナンスが行われますが、住宅のメンテナンスは個人に委ねられます。
雨漏りは買い手からの補修請求等の対象として認められやすい症状ですから、
定期的なメンテナンスがとても重要になるのです。